[Interview]女優・深川麻衣を支える、グループ卒業時から根底にある“知りたい”という気持ち 

「観終わった後に、今の自分の生活がどれだけ幸せなのかと、改めて考えるきっかけになりました。」と語るのは、女優の深川麻衣。出演した映画『空母いぶき』(5月24日公開)を鑑賞し、「家族や友達や、自分の周りにいてくれる大切な人たちの存在。その人たちと過ごしている何気ない日常がどれだけ幸せなのかを実感しました。」と、平穏な日常への感謝を噛み締める。
映画は、かわぐちかいじによる同名漫画が原作。突如、国籍不明の軍事勢力から攻撃を受けた日本が初めて直面する未曾有の24時間を、最前線の自衛官たち、総理大臣を中心とする政治家や官僚、ジャーナリスト、一般市民のそれぞれの立場から描く。
深川が演じた森山しおりは、映画オリジナルのキャラクターで、登場するコンビニのシーン自体も原作にはない。映画のオリジナルキャラクターとして、作品の中で自分がどういう役割を担うべきなのか。「今までの作品の中で一番そういうことを意識したかもしれない」と彼女は語る。

激しい戦闘が繰り広げられている海の上から遠く離れた東京・下町のコンビニ。クリスマス・イブを翌日に控え、慌ただしくも普段通りの生活を送る一般市民の姿は、緊迫感溢れる戦闘シーンとのコントラストを強調する。現場で若松監督からかけられた「明るく」という言葉から深川はその意図を汲み取った。
「観ているお客さんもハラハラするような危機的状況の中で、間にコンビニのシーンが挟まってきます。コンビニという場所は観ている方にとっても身近に感じてもらえる場所なので、リアリティがありますし、少しホッとできたり共感してもらえる部分があると思います」。

深川麻衣

深川麻衣

本作には西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、佐藤浩市といった日本映画界を代表する錚々たる役者が集結。コンビニシーンで深川のパートナーともいえる店長役を演じたのは名優・中井貴一。憎めないキャラクターの店長を演じ、深川演じるアルバイト店員のしおりとコミカルなやり取りを見せる。

初共演となった深川は「中井さんは監督に『こういうのはどう?』ってご自身でどんどんアイデアを出されますし、アドリブをちょっと含んでいたりとか、カメラが回るたびにお芝居が違うんです。」と、その芝居に圧倒されたという。「中井さんだからこそ作り出すことができる雰囲気や、そのシーンを和ませる空気感があって。近くで見ることができて感動しましたし、とても勉強させていただきました」と瞳を輝かせる。
「私が緊張しているのを察してか、現場でも気さくに話しかけてくださって、すごく嬉しかったです。お芝居はもちろん、お人柄もとても素敵な方でした」と、大先輩の懐の深さに感激した様子。
「お芝居をご一緒してすごいなと思う方は、その方自身もやっぱりとても魅力的なんです」と実感を込める。現場で中井と接していくうちに「知識がとても深くて、私も好きなことや趣味はあるのですが、もっと自分の好きなことを探求していきたいなと思いました」と、大いに刺激を受けたようだ。

そんな彼女に、これまでに影響を受けた共演者を尋ねると、「全員って言いたいくらい(笑)」と困惑の表情。「年齢関係なく、同年代の子も先輩方も、毎回素敵な方とご一緒させていただいているので」と話す通り、本作での中井も含め、数多くの素晴らしい役者たちと現場を共にしてきた。
直近の作品では、3月までNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で女優の安藤サクラと共演。「途中からの参加だった私が収録初日にガチガチに緊張していたら、さくらさんが横に来て『できてる雰囲気のところに途中から入るのって緊張するよね~!』って、ポンポンって肩を叩いてくださって。その言葉ですごく救われたというか、ホッとして、緊張してる自分を冷静に受け入れることができるようになりました。自分もこういう人でありたいなと思います」。

深川麻衣

深川麻衣

アイドルから女優へと転身し、『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初主演、同作でTAMA映画賞の最優秀新進女優賞を受賞、2年連続で東京国際映画祭のレッドカーペットを歩き、朝ドラ出演も果たした。順調に女優としてのステップアップを重ねているように見えると伝えると、「そう言っていただけて光栄です…(笑)」と謙虚に微笑む。
「最近になって役柄の名前で呼んでくださる方が増えたり、グループにいた時の私のことは知らず、作品で初めて知ってくださる方がとても増えて。そういうことは初めての感覚なので、すごく嬉しいですね」と、徐々に女優としての顔が浸透してきていることを喜ぶ。「“元アイドル”というイメージは関係なく、“1人の深川麻衣として見てもらえるように”ということはこれまでも目標の1つとして仕事をしてきたので、作品を見て自分のことを新しく知ってくださったり、覚えてくれたり、役名で呼んでくれたり。そういう出来事はすごくうれしかったです」。

2016年6月に乃木坂46を卒業してから、もうすぐ3年が経とうとしている。「卒業を発表した時はまだ事務所も決まっていなかったので、(卒業を)決めたのはいいものの、そんなに甘い世界ではないし、お芝居の仕事がしたいけど、できないままかもしれないなとか、いろんな将来を想像しました」と打ち明け、「その時は、とにかく1からいろんなことを吸収したいとか、グループの看板が外れた時に1人の人間としてどういうことを感じるんだろう、どういうことを思うんだろうとか、自分に対しても、お芝居に対しても、“知りたい”という気持ちが強かった」と当時を振り返る。
「お芝居の仕事は、未来が保証されているわけではないので、ちょっと先を想像した時、楽しみでもあり怖くもある」と不安もある一方で、「でも、ずっとその“知りたい”っていう気持ちを持ち続けていたら、一生続けられる職業だと思うんです」と、女優の道へと踏み出した時の気持ちが今も彼女を支えている。

グループに所属していた頃、その温厚な人柄がクローズアップされることの多かった深川だが、インタビューを通じて見えてきたのは彼女の奥底にある貪欲な知的好奇心と向上心だった。
とはいえ、本作で店長の頼みを断りきれず引き受けるシーンについて尋ねると、「この人に頼まれたらしょうがないかなと思えるようなチャーミングなお人柄の店長なので、私自身がもしコンビニ店員として働いていて、あの勢いで来られたら、押しに負けて『あ、じゃあ……』ってなっちゃうかもしれないです(笑)」と、やはり慈愛に満ちた人柄も健在だった。

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